東京高等裁判所 昭和25年(う)444号 判決
原審第四回公判期日において原審弁護人から証人として藤田昭吉の尋問を申請したのに対し原審はその採否を留保したまま結審の上判決に至つたこと所論のとおりなるは訴訟記録によつて認められるが原審弁論終結迄に取調べた証拠によつて本件窃盜の事実は十分認められるから右証人申請に対し採否の決定をしなかつたことは原判決に影響を与えること明らかなものとはいえない、此の点において審理不尽又は理由不備の廉はない。故に以上の論旨は孰れも理由ない。
然るに、当裁判所は職権を以て審按するに、本件控訴事実中住居侵入の点は、前記窃盜罪とは併合罪として起訴せられたにかゝわらず原判決は同事実は罪とならないが窃盜罪とは牽連関係にあるからとの理由で主文においてその無罪の言渡をしなかつたのは併合罪として起訴された住居侵入の公訴事実につき裁判をしない違法があり、同判決は此の点において破棄を免れない。